白兎物語
ウサ吉「ウサ太郎!目を開けろ!しっかりするんだ!」

しかしウサ太郎は微動だにしない。

ウサ吉「ちくしょう!一体誰がこんな事を…?」

「お前だよ!」

見るとウサ太郎が目を開けウサ吉にツッコミを入れていた。

ウサ吉「まあ助かったんだからよかったじゃないか。」

笑いながらウサ太郎を助け起こすウサ吉。

ウサ太郎「ああ、しかしすごいなお前。セシルに攻撃をしつつ、オレに防御魔法を掛け爆発から守るなんてな。」

ウサ吉「気がついたら咄嗟にやっていたよ。歩けるか?」

ウサ太郎「ああ、なんとかな。丈夫だけが取り柄だから。」

ウサ吉「よし、とりあえず洞窟の外に出よう。」

2匹はまだJr.の側に座り込んだままのウサ美の方に歩き出した。

ウサ美「やったなウサ吉!ウサ太郎!」

歩いてくる2匹を見ながら安堵の声をあげるウサ美。

ウサ吉「犠牲は大きかったですけど…世界は救われました。」

ウサ美「やられたみんなを弔ってやらなきゃな。帰ったらとりあえず………」

そこまで言うとウサ美は急に黙ってしまった。

異変に気がついたウサ吉はウサ美を見ると、ウサ美はただ驚いた表情でウサ吉を見ていた。

ウサ吉「姫?」

ウサ太郎「なんだ?どうかしたのか?」

妙な雰囲気に気づいたウサ太郎もウサ美に声を掛ける。

ウサ美はゆっくりとウサ吉を指差しこう言った。

ウサ美「お前は…誰だ?」

ウサ吉・ウサ太郎『!!!』

突然のウサ美のその言葉の真意がわからず、2匹はただ驚くばかりであった。
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