先生の青
Color.5 傷が乾くまでは
日曜日の夜
先生の車に送られて帰る
ハンドルを握る横顔は
いつもの3割り増し
イケてんじゃない?
そう感じたことは
もちろん内緒。
助手席から
スクロールしていく
夜の街並みを
ぼんやり眺めながら
「先生、車 持ってたんだ」
「うん。
でも週末しか乗らないかな」
…………週末
「週末?
いつも、どっか行くの?」
私の質問に先生の頬が
少し引きつったのは
気のせいじゃないと思う
「……大抵、地元に帰ってる」
「地元?
先生の出身って近いの?」
「なんだよ、イチ。
そんなにオレの事が
知りたいのか~?」
ニヤリと笑って
からかうように言う
うまく はぐらかしてる
これ以上は
聞かないで欲しいって
ことだね?
うつむいて黙りこんだ私に
「隣のN市だよ
車で2時間かからないし
しょっちゅう帰るんだ」
「……ふーん」
N市にフミとカナがいるんだ
家が近づくと
動悸が激しくなって
不安感で
胸がいっぱいになる
身体が重くなって
気持ちが悪い
これじゃ なんだか
保育園に行きたくない子供が
朝、体調不良を
訴えてるみたいだ