先生の青



「お前、自分の種
知ってんのか?」



「た、種って何……?」


ふっ……
英雄さんは鼻で笑い


「父親だよ」


父親?


「……知らない……
叔母さんが……
お母さんの……前に勤めてた
会社の上司……と不倫……」


言ってから
不倫なんて言葉を口にして
良かったのかなって思った



「……その叔母さん
ハズレだな」



「え?」



「確かに市花は不倫の末
出来たガキだよ

だけど会社の上司ではない」



英雄さんは
私の父親を知ってるの?


身体を締め付ける
英雄さんの腕が


耳に触れる唇が嫌で


少し身をよじると

……ギュウ………

さらに きつく 抱きしめられる



「市花の母親は
若い頃ホステスだった

そこで、客の1人と
不倫関係になる」



お母さんがホステス?


そんな……聞いたことないよ



「不倫の末、妊娠
男は手切れ金を渡し
子供を堕ろすように言い
お前の母親を捨てる」



  ズキッ……
顔も見たことないけど
父親が私を堕ろすようにって
…………ショックだよ



「でも、市花は生まれた
お前の母親は不倫相手に
内緒で1人きりお前を産んだ」



……私の出生を
淡々と語る英雄さん


いまさら 私の出生が
なんだって言いたいの?



それに 何で
私の知らない
私の出生を
英雄さんが話すの?




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