先生の青




「イチ」



「イチ、オレは優しくないんだ
弱くてズルいんだよ」



もう痛いほど知ってます


そんな風に寂しそうな顔で


離れないように


切り捨てられないように


私の心を締め上げる




先生は一番残酷な人だ



そして



私は底なしのバカなんだ




だんだんと明るくなっていく
夜明けの部屋


ここには希望なんて
一欠片もない




先生の頭を抱えるように
抱きしめた



Tシャツを通し
胸に熱い吐息を感じる



わかったよ、先生
望み通りに
バカになる



だけど勘違いはしないでね


バカになるのは
誰のためでもない



先生のために。なんて
サムイこと死んでも言うものか



私は先生から
もう何も欲しくない



「………イチ」


抱きしめた腕をほどいて
何かを言いかけた
先生の唇をふさいだ



強く唇を押し付けると
彼の迷う気配を感じる



だけど すぐに先生は
噛みつくような
キスを返してきた





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