先生の青
「はぁ」
先生がため息をついて
「ごめんな、オレのせいで」
「え、違っ……、
私ダイジョーブだよ」
「大丈夫じゃないよ
家に帰って病院に……」
「イヤ!」
ギュッと先生の袖を掴んで
首を横に振った
「イヤ!絶対にイヤ………
先生のそばにいる」
「………イチ…………」
今、先生から離れたくない
明日……日曜日までは
絶対に片時も離れたくない
困った顔して先生は
部屋の隅に置いてある
私のバッグを見た
着替えとか詰め込んである
大きなバッグ
「………今より
具合悪くなったら
病院行くって約束な」
渋い表情で先生は言って
私はうなずく
「うん、わかった。
でも本当に大丈夫だよ」
「はい、はい。
風邪薬持ってくるから
イチは着替えて寝なさい」
「はーい………」
パジャマに着替え
ベッドに入ったら
関節が痛い気がする
熱なんて計るから
具合が悪くなるんだ
「ほら、イチ薬だよ」
先生が水と薬を持ってきて
ベッドに上半身
起こした私に渡す
手のひらに乗った薬を見つめ
「薬、嫌い」と呟いたら
ベッドに座った先生が
吹き出して笑った
「………なんで笑うの?」
憮然として薬を飲んだ
先生は「ごめん」と謝ってから
「イチが子供みたいなことを
言ったから少し意外で」
………うぅ。
恥ずかしくなって
先生にコップを渡し
ベッドに潜り
頭まですっぽり布団をかぶった
「ああ、イチ。
これおでこに貼って」
先生はそっと布団を剥いで
私のおでこに
冷却シートを貼った