先生の青




おでこ、冷たい
冷却シートが鬱陶しい……




目を閉じた私を
先生は2、3度 撫でてから
ベッドを離れ
キッチンで何やら
ガチャガチャやり始めた



………何してんだろう



  ガタガタ


……何だろう


  ガチャン


……うーん大丈夫かなぁ?


それからもトンとかダンとか
キッチンからは
賑やかな音がして



不安にはなったけど
目を閉じて早く熱を下げようと
ベッドでじっとしてた




しばらくして


「……イチ、寝てる?」



先生がベッドに座り
小さな声で訊いた



「起きてるよ」


まぶたを開くと
心配そうに私をのぞき込む
先生と目が合う


「リンゴ、すりおろしてみた」


「え?先生が?」


驚いて大きな声が出る
だけど、
リンゴすりおろすくらい
誰だってできるよね……



起きて先生の隣に座る


「寒くない?」


「大丈夫だよ」


優しく気遣ってくれる先生から器とスプーンを受け取った



………ずいぶん赤がまざった
すりおろしリンゴ


皮剥きも苦手なわけ?



思わず苦笑いしそうになったけど先生は何かすごい訴えかけるような目で私を見てる。



………まさか、初めて
リンゴすりおろしたとか
言っちゃう………?



熱い視線に
たじたじになりながら


「いただきます……」


スプーンを口に入れた




「―――――――……っ」



…………なにこれっっ





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