先生の青
手首を掴む
私の手をそっと先生は取り
両手で包んで口元にあてた
「イチは賢くないな………」
手の甲に先生の唇が触れて
胸がいっぱいになった
「先生」
「先生が好きです」
言いたかったことを
やっと言えた
「私は先生が好きです」
先生は私の手の甲に
唇をあてたまま
まぶたを閉じて
「弱いよ、オレ」
「知ってるよ………」
「つらい思いさせるよ?」
「………いいよ………」
まぶたを開き
私の頬を指先で撫でて
ゆっくり そっと
唇を重ねた瞬間
二人とも触れた唇が
かすかに震えた
まるで初めてキスをした
中学生みたいだった
一度、唇を離して
見つめ合い
もう一度
今度は深くキスをしたら
「…………あま」
先生が眉をしかめ
「イチの口、すげぇ甘い」
………あ、ハチミツリンゴだ
「………もしかして
ハチミツ入れ過ぎた?」
今さら そんな事を言うから
おかしくて笑うと
先生は困った顔してから
私につられるように笑った
それからもう一度キスをした
先生は一瞬切ない表情を見せた
これから先も一緒にいる度
胸に痛みを抱く先生の
こんな表情を見るのだろう