先生の青





ちゃんと休まなきゃダメよ



カナさんの言葉を受け入れ
1日に何時間かは
彼女の家で休ませてもらった




もちろんその間にも
もしもの事があったら
なんて考えたくない思いが
頭をよぎってはかき消した





建築デザインをしてる
カナさんのご主人は
長期の出張中だと言ってた




お客様用の布団に
横になった私に
カナさんは話してくれた





「地元に帰ってきた泉は
毎日、私の実家で
フミに手を合わせてた


フミのことになるとあの子は
なんていうか笑ってても
背中に影みたいのを
背負ってるのが見えたんだけど


仏壇に手を合わせて
私の両親と話す泉に
もう そんな影はなかった


私、不思議で聞いたのよ
何で泉は変わったのか……


泉は 変わったかな?って
頭を軽く掻いてから
こう言ってたわ」



『フミに対する
罪悪感は消えてないよ


フミを思うとつらいし
胸は痛いよ


前の自分は
フミのために
幸せになってはいけないって
思ってた


だけど、結局それは
償いきれない罪悪を
軽くするため
フミのためじゃなく
自分のためだって
気がついた………


本当に向き合うことにしたんだ


後ろめたさも罪悪感も
全部抱えて前向くことにした


それに気がついたのも
イチがいたからだな


イチと一緒に
幸せを作りたいって思う


オレ、バカだし
苦労はすると思うけど
泣いたり泣かせたり
すれ違うこともあるだろうけど


そこから逃げないで
一緒にいられたら
幸せと向き合えたら


フミにもきっと
ちゃんと向き合える


オレ、フミに恋愛感情は
持たなかったけど
双子の妹みたいに
大切に思ってたのは
嘘じゃないから』






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