先生の青
放課後 美術室
タン、タン、タタン、タン
タタン、タン、タン、タン
教室の片隅、
腫れた頬に 絆創膏を貼った顔
固くまぶたを閉じ
iPodで音楽を聴きながら
三島先生が ひっきりなしに
足でリズムをとる。
「ねぇ、ねえ、市花」
絆が不安そうに私に問いかける
「三島先生…また始まるの?」
横目で教室の片隅にいる
三島先生を見てから
「始まるだろうね
ジャイアン リサイタル」
すぅ……
先生が大きく息を吸い
「♪~♪~♪――…♪―…♪~
♪~♪~~♪―…♪♪♪~♪」
ビミョーに外れた音程の
バカでかい歌声が美術室に
響きわたる。
彼の不機嫌な理由を
知ってる私は
三島先生って つくづくバカだな
そう 呆れてしまうんだ。