先生の青
ああ、バカ。スッゴいバカ。
三島先生はバカ過ぎる
タン、タン、タタン、タン
タタン、タン、タン、タン
「~♪~♪――…♪♪~♪~♪
♪――…♪♪~♪~♪♪~~」
気持ち良さそうに
私たちに迷惑をかける
三島先生の前に立ち
スポンッ
イヤホンのコードを引っ張り
「うるさいっ!」
怒鳴りつける
先生はキッと私をにらみ
「イチ!先生に向かって
うるさいとは なんだっ!」
イチ
先生は夕べから勝手に
私をそう呼ぶ事にした
一ノ瀬のイチなのか
市花のイチなのかは
わからないけど
iPodをしまい
椅子から立ち上がり
「いてててて……」と
呟きながら
先生は大きく伸びをした
「あ、そうだ。絆!」
うちの部に
山本は二人いるから
絆は三島先生に
名前で呼ばれてる
「この前、作った湯飲み
今日、持って帰るか?」
「はい」
先生に湯飲みを渡され
嬉しそうに笑う絆。
「絆は いつもペアで作るけど
ご両親のためか?」
絆は三島先生にそう訊かれ
曖昧に微笑む。
ご両親のためじゃない
30才上のオジサンのためだ
ウキウキ ルンルン
これで藤代先生に会う
口実が出来たわぁ~♪
絆の頭から
そんな思考が
漏れて来そうな
幸せそうな表情で
大切そうに湯飲みを
カバンにしまう
絆を見てたら
チリッと
胸が火傷したみたいに
痛みだす