先生の青
なんで絆は幸せそうなの?
普通の家庭に育って
好きな男には 相手にされてないって言うじゃない
そんな男に作品届けて
会うだけで幸せ~なんて
おかしいんじゃないの?
「市花?」
絆に声をかけられ
ハッとする
「どうしたの?
ぼんやりしてるね」
屈託のない笑顔
チリチリ チリチリ
胸が熱い
「………絆は…さ」
「うん?」
キュッ。
一度 唇を結んで迷う
こんな気持ちの時に出る言葉は
ロクな物じゃない
だけど
「絆さ、本当に…彼……
藤代先生だっけ?
一緒にいて幸せなの?」
「えっ!」
絆は目を丸くして
「ん~」と
一応悩むような声をだしたけど
その顔は ニンマリしてる
「幸せだよー。大好きだもん」
……チリッ
なんだろう。胸が熱くて痛い。
「だ、だって30も上でしょ?
付き合ってるわけ
じゃないんでしょう?
そんなオジサンに
絆の青春 捧げて後悔しない?」
「………市花?」
絆が怪訝な表情を浮かべたの
わかってるのに止まらない
「………本当に何もないの?
そのオジサン
絆の身体が目当てとかさ」
「藤代先生はそんな人じゃない」
怒ってはいない
だけど
絆は私を真っ直ぐ見据えて
「彼はそんな人じゃない」
はっきり言った