先生の青




……取り消さないと


ヒドイ事を言った


取り消さないと


だけど、なんで?


チリチリ チリチリ
胸の奥が やける



「市花は藤代先生を
知らないから

だけどね、素敵な人だよ

私の気持ちを知ってて
付き合わないで
だけど、たまに二人で会う

市花や他の人が見たら
変な関係に見えると思う

でも、付き合わないのは
彼の愛情だって私は知ってる」



――――――――――愛情



「………好きなのに
何もないのは寂しい
だけど、それが
彼の優しさだもん

私は幸せだよ。

――大切にされてるんだ、私」



  大切にされてるんだ



チリチリ チリチリ痛い


「………そっ…かぁ…」


前髪を触りながら笑った


「ごめんね、絆
なんか変な事を言って

素敵だね、わかり合えてるんだ」



「ううん」絆は首を横に振り


「それでも
不安定になる時もある
壊したくないから
頑張って守るの
彼がすごく大切だから」



………なんか、別世界の話だな


あちらが正しい恋愛で

こちらが間違い、残念みたいな



………英雄さんにとって
一度でも 一瞬でも
私が守りたい存在だった時は
あるだろうか?



…………考えなくても
答えは わかってるけど……




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