先生の青




ダンダンッ!



「開けろっ!
顔を見せろっ!
そして話せ

お前を悩ましてる事から
オレが守ってやるから」




   守ってやるから



その言葉に胸が震えた




「……イチ?
1人で泣くな
1人になるな
1人なんてロクな事ねぇぞ」




1人で泣くな 1人になるな



そういえば子供の頃から


私は ずっとずっと1人だった


寂しいなんて思えなかった


忙しく働くお母さんに対して


甘えるなんて したくなかった


お母さんの力になりたかった


でも やっぱり
ずっと寂しかった



いつでも心は隙間だらけ



優しい義理の兄は



その隙間にピッタリだった




…………だから私は恋をした




「イチ?イチ!」



イチ イチうるさい………


暴行事件で教頭に怒られて

その後すぐ

女子トイレで騒いでたなんて
誰かに見られたら
どーすんだ、バカ。



………三島のバーカ



ズズズ――ッ
鼻をおもいっきりすすり
ゴシゴシゴシ
涙を手で拭い



―――ペチペチ
頬を両手で叩いた



もう泣くな、私。





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