先生の青




翌日、学校の昼休み


決心が揺るがないように



英雄さんにメールする




>今日の夜、空いてますか?
>話したい事があります。
>出来れば家の外で




送信しても
返信が来ることはなく



いつも通り部活に出た



時々、三島先生の
気遣うような視線を
感じたけど



特にお互い
何も話す事はなかった





部活も終わり
後片付けを終え
皆が美術室を出て行く



窓際に立ち
ケータイを握りしめる私に
部長が声をかける


「一ノ瀬さん、帰らないの?」


「あ、はい、えっと
私、電気とか ちゃんとして
帰りますから」



「そう。じゃ、また明日」



「さようなら」



美術室に1人残って
ケータイを見つめる



英雄さんから返信が来ない



ドクドク
不安で鼓動が早まる


話したい事があります
そんなメールして
結局 会えなくて


夜 みんなが寝静まった所
部屋に入られたら………



それだけは避けないと



ケータイ見つめて
爪を噛み考える



直接……かけてみる?



パクッ
ケータイを開き
アドレスを出そうとした時




  ガラッ……


ドアの開く音が響いて


「あれ?イチ、まだいたの?」



「……………三島先生…」


とっさにケータイを閉じ
制服のポケットにしまった





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