先生の青




もう大丈夫だからね


イチは幸せになれるよ


ちゃんと幸せになれるから


それまでオレが


そばにいて守るから


自分を大切にしような




しっかり私を抱きしめて


何度も何度も言ってくれる



先生の腕の中は繭のようだ



優しく守られて


私は成長できるような気がする



愛情をねだって


うわべだけの優しさに
飛び付いた


小さな小さな子供の心が


先生の腕の中で守られて





ずっと ずっと 離れたくない


先生の腕の中は


居心地の良い繭だ





「……さて、イチ」


先生は私の背中をポンポン撫で


「今夜は……どうする?」


ズズッ……
鼻をすすって顔を上げると


先生はテーブルに手を伸ばし
ティッシュを掴んで


私の鼻を拭きながら


「まだ帰りたくないなら
明日は日曜日だし
もう一晩いていいぞ」



泣いたあとで
頭がぼんやりしてる


それでも 先生のそばにいたい
その気持ちは はっきりしてて



「じゃあ………」


泊まっていきたい。
と言いかけて



昼間の電話を思い出す


先生はフミに会いたいのでは?


……フミって
何者か知らないけど



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