先生の青
言いかけて口をつぐんだ私を
不思議そうに見て
「お前、今さら
遠慮はいらないよ
それとも帰りたくなったか?」
「帰りたくは……ないけど」
まさか
昼間の電話を聞いてました
なんて言えないし
「先生、せっかくの休み
何か予定はないの?
……例えば、デート…とか?」
さりげなく聞けたはず
フミは先生の彼女でしょ?
土日はデートでしょ?
――――――――――ズキッ
…………ん?
ズキッて胸が痛い
先生は きょとんとして
「デート?
相手がいねぇのに
どうやって
デートの予定作るんだよ」
「えっ?彼女いないの?」
驚いた私を
怪訝そうな表情で見て
「いねぇよ」
あれ?じゃあフミは?
…………ただの友達?
いやいや まさか
「本当はいるんでしょ?
私に隠してるんでしょ?」
先生は眉を寄せ
訳がわからない
そんな表情を浮かべ
「イチがどうして
オレに彼女がいると
思い込んだのかは
わからないけど
彼女なんていないし
それを気にしてるなら
全然、気にしないでいいぞ」
先生は隠してるって感じしない
本当に彼女いないんだ……
じゃあ本当にフミって
よく考えてみれば
先生はフミに会いたいのに
なんでカナが電話を?
フミが直で先生に連絡するのが普通だよねぇ……