戦国ライフ-もうひとつの空-
兄上)「待て。
その方。大した太刀筋であるな。いやぁ見事だ。名は何て申す?」
時宗)「名乗る程でもない。ただの旅人だ。ていうか、お前こそ誰だ?人に名を聞く時は、自分から名乗るのが礼儀だろ?」
兄上)「ふふふ。確かにその通りだな。だが、残念ながらわしも名乗る程の名でもないんでな。さ、その娘(コ)を渡してはくれんか。何せよ、わしのたった一人の妹でな。」
時宗)「妹!?…お前がか…!?」
彼は目を見開き私を見やる。
そんなに驚く事でもないのに。
でも、妹だとわかってしまえば、きっと時宗は迷わず私を引き渡すに違いない。
そう思ったとたん、またガタガタと震え出す…。
時宗)「……?」
「離して…時宗お願いだから…!」
逃げたくて、この場から早く離れたくて必死で腕を振り払う。
兄上)「時宗…?」
時宗)「大丈夫だ、落ち着け。」
バンッ!!
突然目の前に煙りがもくもくとたちのぼり…
辺りはまるで深い霧に包まれたように、視界は煙りに苛まれ見えなくなる。
???)「こちらへ!」
現れた黒ずくめの忍びに促され、私達は消えるようにその場を跡にした。
兄上)「…あやつが時宗か…。ふふふ。これは面白くなってきたぞ。」