戦国ライフ-もうひとつの空-


―――――――…



忠平)「フフ、そうやってまた、わしからお恋を取り上げるのか?」

深傷をおったお恋を半蔵に託すと、火の海と化した城の一角で、忠平を見据える。


「アイツを死なせはしねぇ。」


忠平)「お前もお恋に惚れておるのか。だが、貴様にだけは死んでも渡さん!」

カキン!!

「く…!!」

乱暴に切りつけられた刃を素早く弾き返す。

忠平は大きく肩を揺らしながら、ゼーゼーと息を漏らしていた。


もう、此処ももたない。

もう、引き返せない。

それは、目の前にいる奴も同じだ。


「忠平、あんたは間違えを犯した。家来や両親をも手にかけ放火した。その罪は重い。例え、愛する妹の為…でもな。」

忠平)「最早、わしには済んだ事じゃ。お恋が傍に居てくれればそれで良い!お恋がわしの全てじゃ!」


くそ!何を言ってもダメなのか!

アイツはきっと、命を賭けて、たった一人の兄貴をとめたかったのかもしれないのに。


カキン!!

忠平)「どうした?!交わすだけでは勝ち目はないぞ?!」


「本当に、これっぽっちも詫びる心はないのか?!届かないのかよ!アイツの気持ちが!」


忠平)「何をごちゃごちゃと!」


ぐらぐらと、辺りを轟音が鳴り響く。
周りは炎に囲まれて、何も見えない。
出口も塞がれたんだろう。






< 61 / 64 >

この作品をシェア

pagetop