ぱっつんかのじょ
僕は一般的には「ぱっつんヘアー」の女性はすきではありません。
嫌いではありませんがタイプではないのです。
しかし僕の愛しい恋人であるチエコは僕と出会ったときから「ぱっつん」で、多分僕たちが出会うずっと前の前の前から「ぱっつん」だったのです。
彼女のぱっつんはいわば彼女のポリシー!
硬派なヤンキーがリーゼントをビシッと決めるように、
アゲ嬢が気合いをいれてふんだんに髪を盛るように(これは違うか?)、
彼女もまた、「ぱっつん」に命をかけているのでした。
ちなみに彼女にその前髪はとても似合っていて、上品な雰囲気を持たせ、どこかのご令嬢かと思わせます。
服によっては彼女はまるで動く人形のようにも見えました。
だから僕は唯一彼女の「ぱっつん」だけは許せましたし、むしろすきだったのであえて彼女には僕の好みなんか言いませんでした。
しかしどこから漏れたのか……
チエコはうっかりそれを聞いてしまってショックをうけたらしく、次に彼女とデートで会うときには彼女の前髪は見事にバッサリ切られており、あんなにまっすぐにきちんと揃えられていた前髪は不揃いに並んだアシメスタイルになってしまっていたのでした。