LUTIM
「ただし、全てを独りで担おうとはするな。この城には多くの家臣が居る。彼らを信じ頼る事も時には必要だ」
「はい、父上」
「ああ、それと…バーディニア」
「なんでございましょう」
王が認めたのならばこれ以上は何も言うまいと背を正したバーディニアの背後を王の指が指す。
そこにはバーディニアの弟子達が数人控えるように立っていた。赤ん坊の処置をする際に助手を勤めた為だ。
その中の一番年若い少年を指先は示していた。
「ニィドをカリムの補佐に任命する」
「わ、わわわわわわわたくしでございますかっ?」
予想だにしなかった言葉に指名された張本人であるニィドは素っ頓狂な声を上げた。それを眺めながらカリムがにっこりと笑う。
「ニィドが手伝ってくれるならば安心だね」
その声にがくりと肩を落としたニィドは今年16になったばかりで、幼い頃から魔導の素質を買われ城に赴きバーディニアに師事していた為、カリムとは面識がある所か気心の知れた仲だ。
父王としてはその辺りを考慮しての人選だった訳だが、周りから変人王子と称されているカリムの実情を一番間近で目の当たりにしてきたのも彼である。
一瞬にしてこれから背負うだろう苦労が頭の中を駆け巡ったのか、蒼の瞳を曇らせつつ、蜂蜜色の髪を揺らして深々と頭を垂れた。
「…その任…喜んで、お受け致します…」
疲れすら滲んで聞こえたその声にバーディニアは眉間を押さえ、肩を並べる兄弟弟子達は内心で合掌し、そんなニィドをにこにこと笑顔でカリムは見つめ、威厳ある筈の王はどこかきょとんとした様子でそんな面々を眺めていた。
「はい、父上」
「ああ、それと…バーディニア」
「なんでございましょう」
王が認めたのならばこれ以上は何も言うまいと背を正したバーディニアの背後を王の指が指す。
そこにはバーディニアの弟子達が数人控えるように立っていた。赤ん坊の処置をする際に助手を勤めた為だ。
その中の一番年若い少年を指先は示していた。
「ニィドをカリムの補佐に任命する」
「わ、わわわわわわわたくしでございますかっ?」
予想だにしなかった言葉に指名された張本人であるニィドは素っ頓狂な声を上げた。それを眺めながらカリムがにっこりと笑う。
「ニィドが手伝ってくれるならば安心だね」
その声にがくりと肩を落としたニィドは今年16になったばかりで、幼い頃から魔導の素質を買われ城に赴きバーディニアに師事していた為、カリムとは面識がある所か気心の知れた仲だ。
父王としてはその辺りを考慮しての人選だった訳だが、周りから変人王子と称されているカリムの実情を一番間近で目の当たりにしてきたのも彼である。
一瞬にしてこれから背負うだろう苦労が頭の中を駆け巡ったのか、蒼の瞳を曇らせつつ、蜂蜜色の髪を揺らして深々と頭を垂れた。
「…その任…喜んで、お受け致します…」
疲れすら滲んで聞こえたその声にバーディニアは眉間を押さえ、肩を並べる兄弟弟子達は内心で合掌し、そんなニィドをにこにこと笑顔でカリムは見つめ、威厳ある筈の王はどこかきょとんとした様子でそんな面々を眺めていた。