LUTIM
王城をぐるりと回るようにして雪に足跡を残しながら、カリムは城門へ向かって駆けた。時折無駄に円を描くように迂回してみたり、蛇行してみたりと明らかに上がりきったテンションである。
しばらく走りようやくたどり着いた城門の柱に背を預け、天を仰ぐようにしながら息を整える。
未経験の降雪は思った以上に空気を冷やしていたらしく、ひきつるような冷たさに喉を灼かれ出来るだけゆっくりと呼吸を繰り返した。
胸すらも冷やす呼吸が落ち着いて来るのを見計らってカリムは持ち上げていた視線を下ろす。
王城から城門に向かって自分の歩いてきた道筋の通りについた足跡は不思議な満足感を与えてくれる気がして、自然と表情が綻んだ。
自分以外の足跡がないことがこんなに何ともいえない高揚感を生むのかと感心すらしてしまう。
初体験の雪景色をまだまだ堪能したいと思う頭に反してカリムの体はそれを許してはくれなかったらしく、肩が小さく寒さに震えた。
雪の日の冷え込みを知らないままで普段と変わらない服装をし、外に出てきてしまったのだから無理もない。
そろそろ城の中に戻ろうかと背後の柱からカリムが背中を剥がしたその瞬間、耳に届いた微かな何かに反射的に動きを止めて辺りを伺う。
しばらく走りようやくたどり着いた城門の柱に背を預け、天を仰ぐようにしながら息を整える。
未経験の降雪は思った以上に空気を冷やしていたらしく、ひきつるような冷たさに喉を灼かれ出来るだけゆっくりと呼吸を繰り返した。
胸すらも冷やす呼吸が落ち着いて来るのを見計らってカリムは持ち上げていた視線を下ろす。
王城から城門に向かって自分の歩いてきた道筋の通りについた足跡は不思議な満足感を与えてくれる気がして、自然と表情が綻んだ。
自分以外の足跡がないことがこんなに何ともいえない高揚感を生むのかと感心すらしてしまう。
初体験の雪景色をまだまだ堪能したいと思う頭に反してカリムの体はそれを許してはくれなかったらしく、肩が小さく寒さに震えた。
雪の日の冷え込みを知らないままで普段と変わらない服装をし、外に出てきてしまったのだから無理もない。
そろそろ城の中に戻ろうかと背後の柱からカリムが背中を剥がしたその瞬間、耳に届いた微かな何かに反射的に動きを止めて辺りを伺う。