LUTIM
「ワーキャット族の子供ですね」
宮廷魔導士長・バーディニアの言葉を不思議な気持ちで聞きながら、カリムは腕に抱いた小さな体温を見つめる。
今は穏やかなふくふくとした寝顔で眠る様子にほっと小さく安堵の吐息をついた。
あの後。
視界の隅に捉えた籠に駆け寄ったカリムが見たのは、その中でうっすらと雪が積もった寒さに震えながら、精一杯の力でか細く泣く赤ん坊の姿だった。
慌てて籠の中から抱き上げて小さな顔に積もった雪を払う。体をくるむ布は充分な厚みをもっているとは言えず、指先が触れた柔らかな頬は氷のように冷えきって固くなっていた。
とっさに自分の腰に巻いていた赤い布地を外して手繰り寄せ、冷えた小さな体を包む。
「王子、一体何が…!」
「赤ん坊が捨てられていたんだ!このままじゃ危ない…門を閉めたら、バーディニア殿に連絡をして!」
「は、はい!了解しました!」
追いかけて来た兵士に向かってカリムは凛とした声を投げかけた。
片や兵士の方はと言えば、普段ののらりくらりとした変人王子とは思えないテキパキとした指示にただ頷くしかなく、残された籠を拾い上げると既に城内に向けて駆け出して行ったカリムを追うように再びくぐった門をしっかりと閉めた。
宮廷魔導士長・バーディニアの言葉を不思議な気持ちで聞きながら、カリムは腕に抱いた小さな体温を見つめる。
今は穏やかなふくふくとした寝顔で眠る様子にほっと小さく安堵の吐息をついた。
あの後。
視界の隅に捉えた籠に駆け寄ったカリムが見たのは、その中でうっすらと雪が積もった寒さに震えながら、精一杯の力でか細く泣く赤ん坊の姿だった。
慌てて籠の中から抱き上げて小さな顔に積もった雪を払う。体をくるむ布は充分な厚みをもっているとは言えず、指先が触れた柔らかな頬は氷のように冷えきって固くなっていた。
とっさに自分の腰に巻いていた赤い布地を外して手繰り寄せ、冷えた小さな体を包む。
「王子、一体何が…!」
「赤ん坊が捨てられていたんだ!このままじゃ危ない…門を閉めたら、バーディニア殿に連絡をして!」
「は、はい!了解しました!」
追いかけて来た兵士に向かってカリムは凛とした声を投げかけた。
片や兵士の方はと言えば、普段ののらりくらりとした変人王子とは思えないテキパキとした指示にただ頷くしかなく、残された籠を拾い上げると既に城内に向けて駆け出して行ったカリムを追うように再びくぐった門をしっかりと閉めた。