■年上彼氏様□


…逃げなきゃ…



するっと抜け出して、リビングの端に駆け寄る



「そんなとこに居るの」



だんだん詰まる私と男の人の距離



「こ、来ないでぇっ…ふぇぇ…」



「そーやって、和沙誘ってんの?」



伸びてくる手



私はしゃがんで頭を抱えた



いや…


いや……



やだ………



恐いよ……



「やだぁっ!…ひくっ」



異常な程に震える体



……恐い……



「顔あげろよ~」



「やだ、やだやだ…やめて!!!」



お父さんの暴力が頭の中に映像化されてる



痛いのやだ……



やだ…



やだよ……



「痛いのやだぁっ…うぅ、ひくっ」



「は?お前意味わかんねぇ」



男の人はソファに座った



「ひぐっ…ぅ~」



「お前、何なんだよ…ま、俺が用あるのは和沙だけだから」



男の人はテレビを見始めた



………



私は自分の部屋に駆け込んだ



ベッドの上で小さくなって座る



体育座りをして、顔を足の間に埋めた


< 21 / 149 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop