■年上彼氏様□
ズベッ!
「痛っ…」
膝から血が出てる
……辛いよ…
「桜羽…」
聞き覚えのある声…
聞きたくない声…
恐る恐る顔をあげる
「ぃやっ…」
そこには、お父さんの怪しい笑みが見えた
「逃げやがって!!」
いきなりお腹を蹴られた
「痛っぃぃ……!!」
髪をつかみあげられた
「離してぇ…」
「散々捜させやがって!」
次々にくる拳
痛い…痛いよ……
………
…………
「明日、つまみ出して帰らせるからな!」
「ぅ゛…」
ボロボロな体は地面に倒れている
口の中も血の味
頬を伝う涙が傷に染みた
ヨロヨロと立ち上がって、歩いた
………
何も頭に浮かばなかった
心が真っ黒くなっていた
綺麗な夕焼けのはずなのに、何にも感じない
涙が出るだけ
すれ違う人の視線なんて、どうでもよかった