かさぶたと絆創膏

そんなわたしの心情とは裏腹に、


「っ!?」


限界を迎えた胃袋が悲鳴を上げて、顔が一気に真っ赤になった。


恥ずかし過ぎる……。


マグカップを握り締めながら、このまま消えてしまいたい気持ちに駆られる。



「じゃあオムライス作るよ」



俯いて恨めしげに膝の上の手を睨み付けていたわたしに、秋さんは何でも無い顔でこう言って、キッチンに行ってしまった。


「あのっ」



マグカップの中のミルクティを飲み干し、秋さんの背中を追いかける。


既に野菜を切り始めた秋さんは、


「嫌いなモノある?」


さっきからずっと、何でも無い顔をしているまま。


また首を振ってみせたわたしに納得したのか、手際良く包丁を動かす秋さんをそのまま傍らで見つめていた。



お兄ちゃんが実家に泣きつかず、無事に一人暮らしを為せていたのは……この人のおかげなんだろうな。


そう思ったら言わずにはいられなかった。


「あの……ありがとうございます。いつも」


「こちらこそ……勝手に転がり込んだからね。青には助けられたんだ」


こう言った秋さんの顔はこれまでで一番穏やかに笑っていた。
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