かさぶたと絆創膏
「あの……手伝います」
秋さんの鮮やかな手つきにおこがましいと思いながら、こう言ってしまうのは女の子の性だと思う。
言ってから数秒間で後悔して、軽い自己嫌悪に陥った。
「あっ……下手に出だししない方が良いですよね」
手伝いを申し出といて一人撃沈。
空笑いだけがキッチンに響いてて、テンパって恥ずかしくて泣きたくなった。
……秋さんが唖然とわたしを見ている気がして、ますます顔が上げられない。
「はは。青の妹の癖に気遣いだな。青なんてつまみ食いはするけど手伝いなんてしたことないよ」
「……すみません」
人参の皮を剥きながら秋さんが楽しげに笑う。
悪気は無いんだろうけど……我が兄ながら恥ずかしいやなさけないやらで、頬の赤みが三割増しになった。
「ううん」
否定するように呟いた声が優しく、でも横顔はどこか憂いを帯びている気がした。