かさぶたと絆創膏

結局、ただ座っとくことも出来ず……手際良く調理していく秋さんの傍らでウロウロしてた。


これじゃ、手伝いもせずつまみ食いばかりするお兄ちゃんと大差ない……。



それでも出来上がったオムライスは、空っぽの胃袋を刺激しまくりで。


「ご馳走さまでした……美味しかったです」



あっと言う間にたいらげた見た目も味も文句ナシのふわふわオムライスに、両手を合わせて深々と頭を下げた。


「落ち着いた?」



「……え」


「玄関の前で泣いてたから」


青が居なくて心細かった?


続けた秋さんが小さく笑う。

その笑い方が子ども扱いされてるみたいで……なんだか悔しかった。


あの涙は、そんな安い理由なんかじゃない。


半年分の片想いと失恋の淡く苦い気持ちが一杯詰まってるんだ。



「……そんなんじゃ、ありません」



唇を噛み締めて、所々ケチャップの跡が残るお皿を睨み付けた。



何も知らない人を相手に腹を立ててる自分は、やっぱり子どもなのかもしれない……。



そう思うとますます恥ずかしくなって、秋さんの顔が見れなかった。


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