かさぶたと絆創膏
side秋
墓場まで背負い続けていくはずだった歪な恋心を、気が付けば口から吐き出していた。
……それも青の妹に。
『熱が下がんないから今日は泊まってくよ。悪いけど雪よろしく!』
オムライスの完成と同時に届いたメールが、やたらに胸を締め付けて苦しかった。
妹を他人に押し付けるくらい……青は彼女が好きなんだ。
いや。
青のことだからきっと、目の前で苦しんでる人間を一人に出来なかったんだろう。
……俺をこの家に招いてくれたときのように。
醜く見当違いな嫉妬に自分で自分が嫌になる。
だから。
たかが失恋でさめざめと涙を流していた彼女に、なんだか無性に苛立ちと虚しさを感じた。
「醜いってわかってるのに止められない気持ちより、ずっと健全だよ」
だって彼女には、可能性がある。
少なくとも……親友に恋慕を抱いた邪な俺よりは遥かに。
顔にうまく感情を出せてない俺は、雪の表情までも奪ってしまったらしい。
目を見開いたその顔は、戸惑いと驚きとで混沌としていた。