かさぶたと絆創膏
次に目を開けたときには、もう雪の姿は無くなっていた。
丁寧に掛けられた毛布を脱ぐと、
「んっ?」
ヒラヒラと紙が舞い落ちた。
『ありがとうございました。オムライス美味しかったです』
少し丸みがかった文字と簡素な文章に雪らしさを感じる。
ほんの少ししか一緒に居たワケじゃないのにな……。
自分で自分につっこんで、それをポケットにしまった。
そして真っ白な紙に、最後の言葉を託す。
『今までありがとう。また、学校で』
……これで俺の気持ちは、ただの親友に戻る。
まだ揺れる心に誓い、ボストンバッグを握り締めた。
大好きだった青。
告げることは出来なかったけど、青と過ごした時間はこれからもずっと……俺の宝物だ。