かさぶたと絆創膏
*幸せな憂鬱(番外編)*

side雪


お兄ちゃんの結婚式から約一年が経っていた。


お兄ちゃんが結婚前は欲しい欲しいってゴネてた赤ちゃんは、やっぱりもっと二人で居たいってお兄ちゃんがまたゴネたから当分先みたい。


だからわたしが叔母さんになる日はまだ先で、これからしばらくは何でもない毎日が続いていくんだって……そう思ってた、のに。



「今日の夕食、何が食べたい?」


「あの……」


「昨日はグラタンだったから今日は和食にしよっか。焼き魚なんかどう?」


「ねぇ……」


「でも、雪は魚の骨を取るのが下手だから、白身魚のお吸い物と炊き込みご飯……」



「もう! 秋さんってば!」



座ったまま後ろからギューッと抱き締められていた腕を解き、後ろを振り返った。


そこに居るのは、秋さんで。

一昨日も昨日も今日も、多分明日も明後日もそこに居る。



つまるところの……同棲。



あれから数年とちょっと。
今のわたしは、秋さんの部屋に転がり込んで居たのだ。



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