かさぶたと絆創膏
「……秋さんって」
「んっ?」
「絶対前世、女性ですよね」
言った瞬間、秋さんの穏やかだった表情が一瞬で真顔に戻った。
わわぁ……。
マズイこと言っちゃったな。
自己嫌悪してももう遅い。
秋さんの顔はいくら待ってもそのままだ。
「もしかしてまた、俺が青のコト好きだった話蒸し返すつもり?」
「えっ!? そんなんじゃ……」
「じゃあなんで、古傷をえぐるの?」
秋さんが言ってるのはきっと、秋さんと二度目の夜を過ごしたときのコトだ。
あの時は秋さんに抱き締められる程、胸が不安だらけで涙が込み上げた。
だって秋さん。
わたしはアナタの好きだった青の妹だから。
代わり。
幸せ指数が上がるにつれて、この言葉が重くのしかかった。
初めて恋した人は、わたしと似た彼女が居た。
代わりでも良いから傍に居たいとすら思った。
それは秋さんに惹かれ始めたときにも思ったコトで。
でも、いざという時。
代わりが嫌で嫌で仕方ない自分が居た。