かさぶたと絆創膏

「正直言うと、お兄ちゃんを好きだったコト、気にならないって言うと嘘になるというか……」



お兄ちゃんの部屋を出た後、以前のようにまた何人かの女性と付き合ったって聞いた。

それの全てが相手の一方通行だったコトも、秋さんの顔を見たらすぐにわかった。



お兄ちゃんだけが秋さんの恋心に入り込めた、唯一の人なんだ。

唯一の想い人……。



「わたしがお兄ちゃんの妹だから、秋さんは愛してくれるんですか?」


秋さんを想うほど、唯一の想い人が頭を占めていく。


思わず零してしまった本音に後悔しても遅い。



「…………」



わたしを見つめる秋さんの瞳がどうしようもなく悲しげだった。



こんな言葉を言ってしまう前に、また唇で塞いでくれたら良かったのに……。



あの唇はもう……わたしに口付けをくれないのかもしれない。



幸せな憂鬱が終わっていく。



自分のモヤモヤを晴らしたくてまた、秋さんにぶつけてしまった。



初めて会った夜から何ひとつ成長していない自分が情けなくて嫌いだ。



自分が楽になりたくて、大切な人をひどく傷つけた。



わたし、最低だ。



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