かさぶたと絆創膏

どれだけ喚いても騒いでも、時間は等しく流れていく。



雪に指定されたホテルのカフェの前では、


「むぅぅ……」


腕組み仁王立ち姿の青が、虹の用意したスーツを纏って立っていた。



「……お兄ちゃん何かあったんですか?」


「雪ちゃんから連絡あった日からずっとあれ。俺が雪に相応しい婚約者か見極めてやるって五月蝿くて」



「……はぁ。なんだかスミマセン」



その五月蝿いのにかれこれ一週間は付き合わされた義姉に申し訳なくなる。



仁王立ちの青を斜め後ろから見ていた雪と虹が同時に溜め息をついた。



「それにしても、一緒に住んでるんだから一緒に来たら良かったのに」


「わたしも言ったんですけど、バラバラの方が面白いからって……」



「何が面白いだよ! 人の妹を貰っていこうって奴が一番最後に現れるなんて……あっ」



いつの間にか斜め後ろの二人の会話に割って入ってきた青は、いつもの幼い顔が引きつるくらいに苛立ちを露わにしている。



いつ来るかとキョロキョロ忙しなく垂れ目を動かしていた先に、


「おーいっ! 秋!」


見知った顔を見つけ、意気揚々と手を振り始めた。


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