かさぶたと絆創膏

自分よりも背の高い親友の秋は、休日だというのにスーツを着ていた。



それに目もくれず、



「秋! 聞いてー! これから雪の婚約者が……って雪は俺の妹なんだけど、っつーか大学ん時一回会ってるから知ってるだろ?」



秋の腕を掴み、まくし立てるような勢いで言いながら目の前と後ろとに交互に首を動かしている。



一人で五月蝿く喚き動く青に、


「うん。知ってるよ」


穏やかな笑みを貼り付けた秋は、くいくいっと右手を浮かせ手招きをしてみせる。



手招きの先を青が目で追うより早く、


「だって、俺の可愛い奥さんだからね。お義兄さん?」


「…………えっ?」



兄と秋の様子を見るために近付いていた雪の腕を引き、ストンと自分の方へと抱いてしまった。



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