かさぶたと絆創膏

3月29日。

二十歳の誕生日を前に家を飛び出したのが半年前。


放任主義で子どもに興味の薄い親に嫌気が差した。


歳の離れた兄貴は家を出て、さっさと自分で自分の居場所を確保し生きている。



自分で何でも出来るようになりたい。
小さい頃からずっとこう思いながら生きていた。


だから他人に舐められるのは嫌いで、他人に弱味を見せるのは大嫌いだった。


誰にも文句なんて言わせないくらい勉強して、誰にも笑われないくらい運動神経に磨きをかけてきた。


でも、決して鼻には掛けない。
教師や周りの人間には適度な信頼を。
友人には適度な協調性を。



面白くない優等生にはならないことを心掛けて……。



他人には頼らない。
自分で何でも出来る。



それで良いって信じてきて、それが唯一俺自身を支えるモノになった。



……アイツに出会うまでは。
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