‡G†O†D†s‡〜討魔の一刀〜
「私について来ないで、もう自分の宿に帰ったほうがいい」




 甚兵衛のその言葉を、凪は人差し指を唇に当て、少女らしい仕種で聞いていた。




 しかし、不意に、悪戯っ子のような笑みを浮かべた。




「凪は、宿なんかとってないんだよ。

どっか、橋の下か、小屋でも探さないとねぇ。

でも、物騒だし・・・・・・。

どっかに安全に泊まれるトコないかなぁ?」




 そう言って、上目遣いで甚兵衛を見る。




 やや長い間、甚兵衛は、凪を探るように見詰めていた。




 甚兵衛は、どこか困っているようにも見える。




 しかしやがて、はぁ、とため息を一つ吐いた。




「分かりました・・・・・・。

とりあえず、今夜はうちに泊まりなさい」




 凪が、にやっと笑う。




「変なことしな「しませんよ!」」




 凪の言葉尻に被せるように、甚兵衛は、即、否定した。




 凪が笑いながら、甚兵衛の腕を取る。




 甚兵衛には、凪がホッとしているように見えた。




 態度には出さないが、さすがに、あんな目に合っては、一人ぼっちで夜を明かすのは恐ろしかったのだろう。




(仕方ない、か)




 甚兵衛は、微苦笑を漏らした。
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