‡G†O†D†s‡〜討魔の一刀〜



 平治が、トボトボと帰って行く。




 だが平治には、今から向かう所が、自分の居場所だとはどうしても思えない。




 それなのに、そこに向かって帰ろうとしている。




「親父の言う通り・・・・・・。

きっと俺はまだ半人前なんだ・・・・・・。

周りに流されるばっかりで・・・・・・。

一人前になれば、胸を張って帰れる場所が見付かるんだろうか・・・・・・?」




 平治が、俯きながら沈鬱な様子で歩いていると、いきなり声を掛けられた。




「平治さん?」




 平治がハッとして顔を上げる。




 目の前に母娘が居た。




 同じ長屋に住む母娘だった。




「おせんさん・・・・・・」




 平治は、見知った人に会いたくなかったので、少々気まずそうな顔をする。




「家を出て行ったって聞いてたから、心配してたのよ。

もしかして、家に帰ってたの?」




 おせんは、心底心配しているように平治に優しく声を掛けた。
< 268 / 445 >

この作品をシェア

pagetop