‡G†O†D†s‡〜討魔の一刀〜
「それで、靉苒さん。

私にいったい何のご用でしょう?」




 甚兵衛のその言葉で、ようやく、一人と一振りは用事を思い出した。




「ほれ、靉苒!

お前から話さんかい!」




 口調がどこか改まって聞こえた。




 甚兵衛は、お年寄りが居住まいを正したシーンを勝手に想像し、口元が綻ぶ。




「え〜!?

おじいちゃんから話せばいいのに!

あっ!?

もしかして、照れてるの?」




 そう言いながら、どこかいやらしい視線で御神刀を見る。




「たわけ!

そんなわけ、あるかい!」




 御神刀は否定したが、甚兵衛にも照れているように感じられた。




(刀が、照れるなんてこと、あるんですねえ)




 内心で、新たな発見を感慨深く思う。




(それにしても、よく表情の変わる巫女さんだ。

そして、話がちっとも進まない)




 靉苒は、御神刀をからかうのに、一所懸命になっていた。




「あの・・・・・・。

私はそろそろ失礼させていただいても?」




「ああっ!?

ちょっと待って下さいっ!」




 靉苒が、慌てて甚兵衛を引き留める。




 そして、靉苒も居住まいを正した。
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