‡G†O†D†s‡〜討魔の一刀〜
「おい!

あそこ見てみろ!

ガキがいるぞ!」




 皆がそちらを見ると、確かに子供が居た。




 みすぼらしい子供だ。




「こっちに来るぞ!」




 京允が訝るように言った。




 それもそのはず。




 京允達は、いま、変化した姿なのだ。




 普通はそんな姿を目の当たりにしたら、誰でも逃げる。




 それなのに、その子供はこっちに近付いて来るのだ。




 それだけで、充分異常だ。




「おじさん達、道に迷ったの?」




 10歳ぐらいの少年だ。




 無邪気な様子で話し掛けてきた。




 しかし、今の状況では、それがかえって不気味だった。




 皆が警戒する。




「坊や。

この屋敷の小間使いか何かかい?」




 正六が、穏やかな口調で尋ねる。




 もっとも、その姿は鬼だ。




 どう見ても、不気味な姿だ。




 だが、少年はそれを気にした様子はない。




 あまりにも普通に接してくるので、正六は、自分達の変化がいつの間にか解けているんじゃないかと、思わず自分の体を確認してしまった。
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