‡G†O†D†s‡〜討魔の一刀〜



 甚兵衛が、断十郎の言っていた場所まで行ってみると、そこには既に人影は無かった。




「さて・・・・・・。

これは困りましたね・・・・・・」




 二人組の若い侍、というキーワードだけでは、断十郎の言っていた人物を特定するのは難しい。




 まして、この辺りには人気が無い。




 目撃者を捜すというのも不可能に思えた。




 甚兵衛は途方に暮れてしまったが、ずっとここで悩んでいるわけにもいかない。




 やむを得ず、諦めて帰ることにした。




 しかし、その時、意外な人物に出会った。




「おや?

あなたは」




 目の前にごろつきのような風体の男が、何人かの男を従え、煙管をふかしながらやって来た。




「やっぱり、甚兵衛の兄貴だ!」




 煙管をふかした男が馴れ馴れしく、片手を挙げて言った。




「いつ、私が兄貴になったんですか?」




 甚兵衛が抗議する。




「まあまあ。

兄貴の姿を見掛けて追って来たんですから!」




 男が、どこか愛嬌のある笑みを浮かべた。
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