‡G†O†D†s‡〜討魔の一刀〜
「鬼兵でしたよね?

その格好は?」




 甚兵衛が記憶を探りながら、その記憶と違う男の様子を疑問に思う。




「へっへ。

よく覚えていてくれました!」




 鬼兵が嬉しそうに笑いながら、十手をクルリと回した。




「実は、最近の流行り病で、役人の数が減ったんで・・・・・・。

まあ、餅は餅屋と言いますか。

俺達みてえなごろつきにも声が掛かって、市中の見回りを頼まれたんでさぁ」




「ああ!

なるほど!

そういうことですか」




 甚兵衛が、得心して頷いた。




 元々、岡っ引には、ごろつきだった者が多いのだ。




 そういった者達には、裏の人脈を持っていることが多い。




 まさしく、餅は餅屋で、彼らの能力は侮れなかった。




 甚兵衛の見たところ、鬼兵はかなり優秀に思えた。




 岡っ引は、鬼兵にとって存外、相応しいかも知れない。




 そこでふと甚兵衛は閃いた。




 もしかして、鬼兵は、断十郎の言っていた怪しい二人組の侍のことを何か知っているかも知れない。
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