‡G†O†D†s‡〜討魔の一刀〜



 平治は、とりあえず、いつも通りに蔵の鍵を探す。




 そんな必要があるのかどうか、もはや甚だ疑問だったが・・・・・・。




 さすがに、用心棒が何人居ても、鬼を相手には分が悪いようで、平治は騒ぎに紛れて鍵を探すことに専念出来た。




 その時ふと、家人達はどこに居るのだろう、と疑問に思った。




 しかし、その疑問は、ある部屋の襖(フスマ)を開けた時、氷解した。




 その部屋に、二十人程の家人が一塊になって居たのだ。




 皆、怯えた目で、平治を見ていた。




 だが、内心でうろたえたのは平治のほうだった。




 一応、平治も刀を持っている。




 けれど、それを人に向ける覚悟はなかった。




 しかし、家人達にとっては、平治は凶悪な強盗である。




 怯えた目に敵意が加わった。




 店の主人らしき男が震えながら進み出る。




「出て行け!

お、お前達に、く、くれてやる物など、何一つ無い!」




 そう叫びながら、震える手に持った短刀を平治に向けた。
< 340 / 445 >

この作品をシェア

pagetop