‡G†O†D†s‡〜討魔の一刀〜
「凪・・・・・・。

下がっていろ」




 断十郎が、重苦しいトーンで言った。




 しかし、それに応じたのは凪ではない。




 甚兵衛だった。




「どうやら、下がることは出来ないようです。

完全に囲まれました」




 それで凪もハッとした。




 三人を、数十人の町人が囲んでいた。




 皆、様子がおかしい。




 その様子に、凪は怯えたように甚兵衛の着物を掴んだ。




「チッ!」




 断十郎が舌打ちする。




 その時、町人達に異変が起こった。




 獣のような唸り声を漏らす。




 目が血走っている。




 男も女も筋肉が異常な程盛り上がり、まるで、着ている物を破らんばかりだった。




 そのせいで、体が一回り以上、大きくなったように見えた。




 さらに、唸り声を漏らしている口からは、鋭い牙が伸びていた。




「こいつら・・・・・・、妖になりやがった!」




 断十郎が、忌ま忌ましそうに言った。




 全員がおなじ妖ではないようで、獣みたいに全身が毛むくじゃらになる者もいれば、鬼のように角を生やした者もいた。
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