‡G†O†D†s‡〜討魔の一刀〜
「そう構えるな!

なにも、お前達を取って食おうというわけではない。

むしろその逆だ!

俺のツレがどうしてもと言うんでな!

助太刀してやらんでもない」




 甚兵衛も断十郎も、意外そうな表情になった。




 彝経九郎のツレの男に視線を移す。




 まだ若い男だ。




 恐らく、甚兵衛より2、3歳は若いだろう。




 二十歳前後といったところか。




 彝経九郎のような超常的な凄みは感じない。




 甚兵衛も断十郎も、この青年は人間だと思った。




 もっとも、実際は、本性を隠した妖なのかも知れないが。




 しかし、この青年が、彝経九郎を“師匠”と呼んでいたからには、彝経九郎より力が上、ということはありえまい。




 何より、彝経九郎に匹敵する妖など藤内だけで充分だ。




 甚兵衛も断十郎も切実にそう思った。




 だが、だからこそ、甚兵衛も断十郎も困惑した。




 力も立場も上のはずの彝経九郎が、なぜこの青年の意思を尊重して、この場にやって来たのだ?
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