‡G†O†D†s‡〜討魔の一刀〜
 困惑する甚兵衛と断十郎をよそに、彝経九郎が刀を抜く。




「ちょっと待ってくんねえか!」




 断十郎が慌てて彝経九郎を止める。




「何だ?」




 彝経九郎がギロッと断十郎を睨んだ。




「なるべくなら殺したくはねえ!

こいつらが妖に変化したのは不自然だ!

原因を取り除けば、また人間にきっと戻れるはずなんだ!」




 必死の断十郎に対して、彝経九郎が冷笑を浮かべる。




「ずいぶんと、甘いことだな」




 彝経九郎の刀が奇しく輝き始める。




「ちょっと待ってくれ!」




 彝経九郎の刀を見て、断十郎が声を張り上げた。




「フン。

案ずるな。

殺しはせぬ。

俺のツレも生かしておきたいらしいからな」




 そう言って、彝経九郎がツレの青年を見た。




 断十郎も甚兵衛も不思議に思った。




 青年を見た彝経九郎の視線に、慈愛が込められているように感じたのだ。




 だが、彝経九郎が青年を見たのは僅かな間だった。




 すぐさま、無造作にぼぉっと青白く輝く刀を振った。
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