‡G†O†D†s‡〜討魔の一刀〜
 刀から無数の光の刃が流星群のように飛び散る。




 その刃が、彝経九郎の異常な覇気に当てられ金縛りのような状態にあった妖達に突き刺さっていった。




「師匠!」




 青年が思わず声を上げる。




 彝経九郎の一撃は強烈すぎて、妖達を殺してしまいそうに思えたのだ。




 それほど彝経九郎の強さは、この場において浮いていた。




 僅か一振りで、妖が十人程昏倒してしまっている。




 少なくとも、甚兵衛と違って、妖達をなるべく無傷で倒そうとは考えていないだろう。




 青年だけでなく、甚兵衛や断十郎も、彝経九郎が手加減しているようには思えなかった。




 しかし、彝経九郎は、平然として言う。




「経輝。

心配ない。

この程度で死にはしない。

仮に、今、人間に戻っても、命に別状はあるまい」




 経輝という青年に話し掛ける彝経九郎は、外見からのみ判断すれば不思議なことに、親が子に対して接しているかのような口調だった。




 経輝が進み出る。




 断十郎達のほうを向いた。
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