‡G†O†D†s‡〜討魔の一刀〜
 そのことに気付き、平治が平吾の言葉に集中する。




「この・・・・・・馬鹿息子が・・・・・・・・・・・・。

なんてぇ姿に・・・なっちまったんだ・・・・・・。

そんなの・・・・・・ホントのおめぇじゃねえだろ・・・・・・平治・・・・・・・・・。

俺ぁ知ってんだ・・・・・・。

おめぇは・・・、ホントは優しい奴だ・・・・・・。

いい加減・・・、とっとと目を覚ましやがれ!」




 平吾は、厳しい眼差しで平治を見ていた。




 それは、いつも平治を見る時の眼差しだ。




 平治が辟易とし、反抗してきた眼差しだ。




 いつも、冷たいと感じてきた眼差しだ。




 だが平治は、この時、その眼差しに含まれているのが、厳しさだけではないことに初めて気付いた。




 平吾の眼差しは、この期に及んでも、平治に対する揺るぎない信頼と慈愛に満ちていた。




「親父・・・・・・・・・・・・」




 平治の目から涙が零れ落ちる。




 平吾が厳しく接してきたのも全て、平治を信頼し、深い愛情があったからなのだ。




 厳しさも、その愛情の一部にしかすぎなかったのだ。




 そのことを悟った平治は、自分が犯してしまったひどい裏切りを知った。




 そして、息子が裏切ってもなお、息子を信じていた父の存在を知った。
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