‡G†O†D†s‡〜討魔の一刀〜
「平治!」




 断十郎が、思わず声を上げた。




 駆け寄りそうになった断十郎の前に、正六が立ち塞がる。




「おっとぉ。

お前らの相手は俺がしてやる!」




 そう言いつつ正六が刀を振り回し、断十郎に襲い掛かった。




 それを甚兵衛が受ける。




「あなたの相手は、私がしましょう。

旦那は平治さん達の所へ!」




 刀と刀がぶつかる金属音が甲高く響き渡る。




 甚兵衛は、異能を発動しない。




 ここには、まだ家人達が居て、異能を発動してしまうと巻き込んでしまうかも知れないからだ。




 正六は、確かに鬼になったおかげで怪力は得たが、しかし、だからといって、剣術のレベルまで上がったわけではない。




 元々が商家の出である正六は、これまで剣術の修業など積んだことはない。




 一方の甚兵衛は、物心ついた時から戦闘訓練を積んできたのだ。




 甚兵衛は、異能を発動しなくても、正六を圧倒した。




 一方で、断十郎のほうは、やや苦戦を強いられた。
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