‡G†O†D†s‡〜討魔の一刀〜



「平治・・・・・・、大丈夫か・・・・・・」




 平吾が弱々しい声ながら、平治の身を案じる。




「お、親父は、黙ってろ。

親父のほうが、ひどい怪我だろ・・・・・・。

俺は、鬼になりかけてたおかげで、怪我はそんなにひどくないんだ」




 鬼になると、確かに肉体的な耐久力は増す。




 しかし平治は、ほとんど変化が解けていた。




 ダメージは軽くないはずであった。




 平治は平吾に、精一杯強がっていたのだ。




 平吾を見ていると、そのことを悟られそうで、さりげなく断十郎達の戦いに視線を移した。




 甚兵衛と正六の戦いは、甚兵衛のほうが圧倒的に優勢だった。




 正六は、狭い部屋の中に居るせいで、思い通りに刀が振るえないようだ。




 対照的に、甚兵衛の刃は、正確無比な剣術のおかげもあって、正六に着実にダメージを蓄積させていく。




 人間が、鬼を相手に押しまくる、という光景が、平治には信じられなかった。




 一方で、断十郎のほうは苦戦している。




 鬼であることに加えて、京允自身が、かなりの剣の腕前なのだ。




 断十郎のほうが分が悪かった。
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