‡G†O†D†s‡〜討魔の一刀〜
 百葉が恐れをあらわにして彝経九郎を見る。




「ほう。

それならばもう一度試してみるか?」




 そう彝経九郎が言うと、再び刀の輝きが強まった。




 それを、怯えたように百葉が見る。




 彝経九郎が刀を一振りすると、先程と同じように無数の光の刃が放たれた。




 だが、今度は、その刃が百葉に命中することはなかった。




「あっ!?」




 経輝が思わず驚愕の声を上げる。




 光の刃が当たる瞬間、百葉の体が消え失せた。




 一瞬、そう思ってしまう程、唐突に百葉の姿に変化が起きた。




 百葉の体は、バラバラになっていた。




 手や足や体が、それを構成する鼠に分かれ、蜘蛛の子を散らすように、四散したのだ。




 彝経九郎が苦笑を漏らす。




「やれやれ。

逃げ足の早い奴!

一匹一匹追うのも面倒だ。

今回は見逃してやる」




 彝経九郎は刀を鞘に納めると、経輝のほうを向いた。




「では、あいつらのほうへ行ってみるとしようか」




 経輝が頷く。




 二人は《大木屋》へ向かった。
< 385 / 445 >

この作品をシェア

pagetop